今日は職場の先輩にご馳走になった。
端的に言うと、やっぱり仕事辞めにくくなるから、あまり行かないようにした方がいいかなぁと思ってしまった。
いや、元々はそう思っていたんだ。だけど、『幸せになる勇気』の、別れるその時までできる限りの信頼を寄せ、交友すべきという主張に感化された。ここ一年余りの自粛を破って、思い切って誘ってみたのも、それに後押しされてのことだった。
・・・人柄が、良すぎるんだよな。
スポーツマン気質とでも言えば良いのか。いつも朗らかで、些事を気にせず、日々の小さな喜びを見つけて前向きに生きようとする。ちょっと好き嫌いがはっきりし過ぎてるところはあるけど、誰かを傷つけるようなことはしないし、逆に誰からも愛されるような人。そして何よりも、程よい自信をもっていて、くよくよせず、アドラーの言う"まずは自分が相手に全幅の信頼を寄せる"ことを自然にやってのける。当然「自立」している。
学歴なんかは、自分の方が優れているみたいだけど、そんな物差しで計ろうなどという気になどならない。それを補ってあまりあるもの――いわば人間力――、俺にはない良いものを沢山もっている。
今まで俺の周りにはいなかったタイプの人だけど、信頼も尊敬もできる人だ。
オタク気質の俺とは、共通の話題が見事にないのが、マジで残念なところだよ。
で、そんな人を俺は、一年後あたりには裏切るわけだ。
こういうのを、断腸の思いって、いうんだろうな。想像しただけで、ここまで辛いものか。
多分、先輩は「そっか」とか言って笑顔で送り出してくれるんだろう。だけど、その笑顔の裏に、一体何があろうか。100%こちらの都合なのに、「自分のせいかもしれない」と思い悩ませてしまったら、こりゃあ切腹もんだろうよ。
あるいは、人を傷つけたくないのではなくて、人を傷つけることで自分が傷つくのが嫌なだけなのだろうか。一瞬そんな可能性が頭をよぎったけど、今回ばかりは違うような気がする。純粋に、裏切るのが辛い。悲しませたくない。まぁ、別れて悲しませるような存在にはなれていないがな、俺は。
いや、裏切るのは先輩ではなく、組織だ。そもそも、一人抜けたくらいでグラグラと揺らいでしまうような脆弱な状態を、何故放置しているのか。ってかなんで人事部だか、人事課だかがないんだよ。やる気あんのか?
・・・と、いつもであれば平気で下せる決断も、なんか、できない。この引き金が重い。
なんだか、すごく、人間らしくなった気分だ。
そして、俺は、その痛みに耐えられるのだろうか。