無為庵

読書メモ、アイデアの蔵。

革命の時代の幕開け イギリス産業革命

 

二重革命の時代 18世紀後半~19世紀前半

イギリスの産業革命アメリカ独立戦争。これらはそれぞれ産業革命と市民革命の先駆けとなり、ヨーロッパ中に革命の嵐を巻き起こした。

 

産業革命

大航海時代は「販路」拡大なら、産業革命は「製造業」の確立

大航海時代産業革命の準備期間とも言える時代であった。

オランダから世界貿易の舵取りを奪い、フランスとの植民地競争に勝利したイギリスは、世界中の植民地を航路でつないだ。これは丁度、販路を整備する役目を果たした。

となれば、後は商品を生産するだけである。それを担ったのが産業革命だった。産業革命とは、言わば「製造業」の確立である。

 

産業革命

では、具体的に産業革命とは何だったのか。

端的に言えば、産業革命とは18世紀後半のイギリスに始まる「手工業から機械工業への一連の技術革新」である。初めは水力、後には蒸気で動く機械が発明されたことで、手作業よりもはるかに効率よく商品を製造できるようになったことが、社会の形をあらゆる面で変えたのだ。

 

イギリスがいち早く産業革命を迎えたのには訳がある

まず、ある程度の"元手"があったこと。即ち、大西洋の三角貿易やアジア貿易で植民地から富を巻き上げていたので、産業革命を支える資金が集まっていたのである。

次に、"人手"が十分だったこと。産業革命と時を同じくして、イギリスでは「第二次囲い込み運動」が起こった。"囲い込み"とは、耕作地や共有の農地を柵で囲んで我が物としてしまうことで、元々そこで農業をして生計を立てていた農民を失業させた

それで、失業者が溢れていたので、都市部で募集をかければいくらでも雇用することができた。まさしく、"人手"が余っていたのである。

ちなみに「第一次囲い込み運動」は15世紀末~16世紀に羊毛の需要が高まったことから起こった。領主や地主(ジェントリ)が耕地を取り上げて羊の放牧地にしてしまい、農民の職を奪った。

 

イギリス産業革命の流れ

産業革命は、綿織物業から始まる。まず、ジョン=ケイが綿織物の機械に「飛び杼」を組み込んだ(1733)ことで、生産効率が格段に向上した。それはイギリスを糸不足に陥れるほどであった。

というわけで今度は、糸を紡ぐ紡績機に技術革新の波が押し寄せる。

ハークリーヴズのジェニー紡績機、アークライトの水力紡績機、クロンプトンのミュール紡績機と、1764年からものの30年ほどの間に次々と新たな紡績機が登場したのである。

それでも革新は止まらず、ワット蒸気機関を改良する(1769)と、紡績機や力織機(自動織物機)に応用された。更に蒸気機関交通機関にも利用され、スティーブンソンが蒸気機関車(1814)、アメリカのフルトンが蒸気船を開発する(1807)などしたので、19世紀初頭~半ばは「交通革命」の時代になった。

 

産業革命による社会の変容

産業革命は社会の在り方を大きく変えた。

まず、機械の発展が手工業者の職を奪った。失業した手工業者たちは、機械を破壊するラダイト運動(機械打ちこわし運動)を行い、その怒りは暴動に発展した。

次に、資本家と労働者という社会の構造をつくった機械を購入して工場を経営し、人を労働力として使役する資本家は、収益を得てますます豊かになった。しかし、労働者は劣悪な環境下で1日18~19時間とも言われる長時間労働に従事させられ、文字通り"搾取"された。無論、労働者の不満は高まり、労働環境の是正を求む労働運動や資本主義に対する「社会主義」の登場に繋がっていく

 

イギリスは産業革命をいち早く完遂して「世界の工場」と呼ばれるようになる。そして、産業革命はベルギーやフランス、アメリカ、ドイツ、ロシア、日本へと伝播していった。

その一方で、アジアやアフリカは、産業革命を果たした「先進国」に原材料を輸出し、逆に製品を買い取るという「従属国」の立場を強いられた

 

まとめ

  • 大航海時代に植民地を得て「販路」を築いたイギリスは、産業革命を経て「製造業」を確立し、世界に先駆けた。
  • 産業革命とは、手工業から機械工業へと脱皮する一連の技術革新である。
  • イギリスが最も早く産業革命に着手できたのは、植民地との貿易によって"元手"が、第二次囲い込み運動によって"人手"が十分に集まっていたからである。
  • 産業革命は、綿織物機から紡績機、次いで交通機関へと進んでいった。技術的には、ちょっとした一工夫から、水力、蒸気機関へと進んでいった。
  • 産業革命によって、手工業者の失業によるラダイト運動、資本家による労働者の搾取という社会構造をつくった。
  • 産業革命を果たした「先進国」に対し、アジアやアフリカの「従属国」は、原料を輸出して製品を買い取る立場におかれた。

 

~参考~

山崎圭一(2018)『一度読んだら忘れない世界史の教科書』SBクリエイティブ

東京法令出版 教育事業推進部(2019)『歴史風景館 世界史のミュージアム』 東京法令出版

・世界史の窓 https://www.y-history.net/appendix/wh1101-012_1.html

        https://www.y-history.net/appendix/wh0904-064.html#wh1101-011

コトバンク https://kotobank.jp/word/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC-13594#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89