無為庵

読書メモ、アイデアの蔵。

勝ちは知るべし しかして勝つべからず (『孫子』)

故曰、勝可知、而不可爲 故に曰く、勝ちは知るべし、しかして為すべからず

――それでこう云うのだ、勝てるかどうかは〔事前に〕知りうるが、〔それを無理矢理〕為すことはできぬと。

 

孫子』軍形篇に見える一節。

孫子』の基本姿勢は、"事前に敵と味方をよく見比べ、勝ち目があると見た場合にのみ戦争に踏み切る"ことだ。

しかし、それだけでは不十分。なぜなら、実際に勝利を収める方法は、実戦における相手の出方次第で変わるからである。そして、その相手の出方というのは予め分かるものではない。だから、実地における臨機応変の対応(「勢」)が要る・・・。

 

つまり、事前に成功を収めるだけの準備はしておかねばならないが、同時に、実戦では柔軟な対応が必要、というわけである。

 

 

まぁ、その、なんだ。

私も自信がないから過剰なほど下準備をしてかかる質だったんだが、ある時からやはりそれはあまり良くない気がしてだな・・・。

実際、予想外は平気で起こる。大学の発表とかテストくらいなら問題ないけど、就活とかだと全然ダメ。予想できることの方が少なすぎる。喩えるなら、色々考えてガチガチに重鎧着込んで行ったけど、後ろから押されて奈落に真っ逆さまっていう感じ。

 

で、ある意味もっと気楽になるべきと考えたわけだ。

そこで重要なのは、"心の在り様"――あまり未来のことを考えないようにして、怖じ気づかぬようにすることだと思う。

勿論事前に準備をすることは大切だし、それがテキトーだと結局本番も失敗する訳だが、かといってあまりにも完璧にしようとすると、今度は"予想外"に対処するのが難しくなる。あまりにもシナリオががっちりし過ぎると、"予想外"によってそれが乱されたときに頭が真っ白になるのだ。

 

"居着く"って言えばいいのかな。要は、「自分のつくった筋書き」に固執することで心が自由を失い、咄嗟の対応力を下げてしまう。

だから、「予想だにしないことは起こる」と割り切って、できる限り準備をした後は頭を切り替えて別のことを考える。"本番"のことは本番まで考えない。そうすることで、心に余裕をつくる。「予想外は起こるものだから、失敗しても仕方ない」くらいに考える。明日のことを死ぬほど心配しても、何も変わらないのだから。

 

そう、我々は今を生きるほかないのである!